• TOP
  • 組織力強化
  • サッカー界における大学サッカー部から大学スポーツとしてのサッカー部へ 新たな伝統を創る中京大学サッカー部

サッカー界における大学サッカー部から大学スポーツとしてのサッカー部へ 新たな伝統を創る中京大学サッカー部

TOPICS
2021年02月12日

SHARE

中京大学サッカー部。

愛知県・豊田市を拠点とし、東海学生リーグでは23回の優勝回数を誇り、2000年には、関東・関西地域以外の大学として初の全国制覇を果たした東海地区の強豪大学である。


 2019年に創部60年を迎えた中京大学サッカー部が取り組んでいる新たなへの挑戦について、2020年からサッカー部の運営や新たに発足した選手会のマネジメントなどを担当しているコーチの吉田匡孝さんにお話を伺った。


中京大学サッカー部の現在地


―吉田コーチが部の運営の担う前の中京大学サッカー部はどのような状況でしたか?


 プロを目指し日々努力し続ける選手もいれば、横道にそれてしまう選手、惰性でサッカーを続けている選手が混在していて、良くも悪くも、「よくある大学サッカー部」でした。

 中京大学サッカー部は、総勢約220名の部員達が所属しており、6つのカテゴリーに分かれて活動してします。朝練のみのチームもあれば、夜20時からトレーニングのチームもあり、所属しているリーグも学生リーグやIリーグ、社会人リーグなど多岐にわたります。練習時間も違えば、所属リーグも違うため、何か月もグランドで顔を合わせないことや、同級生でも会話をしたことがない部員がいることもありました。

 過去には、TOPチームが全国大会に出場する際の応援バスを出しても有志で参加する部員は数十名のみということもありました。部を代表して戦う選手達の応援に行かないのはとても悲しいことですが、私自身、日頃から部員間でコミュニケーションを十分にとれていない環境で全国大会時だけTOPチームの選手達に対して本気で応援しようと思うはずがないとも思っておりました。また、部の運営についても大部分を大人のスタッフが行っており、選手や学生スタッフは受動的で、指示されたことを行うということが多かったです。


―サッカー部の運営を担うことになった際にまず取り組んだことは?


 最初に、部員達が主体的に部の運営に携わり活動できるように、選手会組織を整備しました。会計や選手登録、部室や備品管理などのルーティンワークを担う【総務】と広報やチームウェアのデザイン、地域貢献活動やイベントの運営などを担う【フロント】、スカウティングやメディカルなどを担う【強化】の大きく3つ部局に分け、それぞれの部局統括には部長と監督、私を含め3名が担当し、【総務】と【フロント】には多くの部員達がサッカー部の運営に参加できるようにしました。

 また、コロナ禍の活動中止期間中を利用して、大人のスタッフと部員達で、オンラインミーティングを重ね、新しい部則を策定し、中京大学サッカー部の活動方針の浸透を図りました。



―それぞれに部局にはどのような部署があるのでしょうか?―


 【総務】には、会計、グランド使用管理、リーグ運営・選手登録、部室・道具管理の4つの部署があり、主に部活動のルーティンワークを担う内容になります。【フロント】には、地域貢献・企画運営、広報、渉外、ウェアの4つの部署があり、主に地元地域や企業などの繋がりを担う内容になります。【強化】には、スカウティング分析や選手獲得、メディカルなど大人のスタッフが主に担っていますが、スカウティング分析には今後は部員達が参加できる仕組みづくりを行いたいと思っています。


選手達主体の運営を目指して


―選手会を整備し、部局制度を導入したことによりどのような変化がありましたか?


 スタート当初は、そもそもどのように動けばよいのかわからないため、こちらから促さなければ動けませんでしたが、徐々ではありますが、自分たちから意見や企画提案も行えるようになってきました。将来的には、選手達が主体となって運営できる組織にしていきたいと考えています。

 コロナ禍で部活動が行えない時もオンラインミーティングを行い、ウェアチームは、活動再開時に備えてミズノ社製のオリジナルマウスカバーなどのチーム共通アイテムを製作したり、来シーズンから着用するユニフォームのデザインも部員達が意見を出し合い製作を進めました。

 また、渉外チームではサッカー部へのスポンサー企業の獲得についても、企業のリストアップからプレゼン資料の作成、アポどりからサポート内容の提案まで部員達自身で行い、パートナー企業を獲得しました。すでにサポートいただいている企業へのシーズン報告書の作成も行い、オンライン報告会も実施しました。

 地域との繋がりを増やしていくことを目的として、選手会メンバーで定期的に最寄りの駅をはじめとした周辺地域の清掃活動を実施し、水泳部も活動に賛同し、共に活動することにもなりました。



人間力や社会性を身に付ける人間的成長の場であり、地域社会に欠かせない存在


―部局制度など新たな取り組みに挑戦している中京大学サッカー部が今後目指しているものは何ですか?


 新型コロナウイルスの影響で、大変なシーズンになりましたが、感染症対策など全部員で徹底しながら各チーム強化行い、TOPチームは、10年ぶりに東海リーグを優勝し、TOPチームとIリーグの2チームが全国大会に出場し、競技の面でも一定の成績を収めることができました。

 ただ、全国制覇や個人の競技力向上のために日々汗を流し、少しでも上の高みを目指して努力することは、アスリートとしては当たり前かもしれませんが、大学スポーツから得られるものは【競技力向上】や【競技実績】だけではないと考えています。サッカーやスポーツを通じて、社会で必要となる【スキル】や【人間力】を育み、地域や社会と接し幅広い【社会性】を身につけることができます。


 中京大学サッカー部は、学生アスリートとして4年間の学生生活の中で、競技からだけでなく地域や社会との繋がりを通じて様々な人間的成長ができる場して、「サッカー界における大学サッカー部から大学スポーツとしてのサッカー部へ、そして地域社会に欠かせない存在になる」ことを目指しています。



SHARE

RELATED EVENT関連イベント

DOWNLOAD資料ダウンロード