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自分たちにしかできない活動を目指して -大阪大学サッカー部社会貢献係の取り組み-

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2020年11月10日

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 初めまして。大阪大学体育会サッカー部(以下、阪大サッカー部)の社会貢献係です。今回のCSParkさんの取材を通して、私たちの活動を知っていただけたら幸いです。

 現在、大学の(体育会系、文化系問わず)部活で、組織として社会貢献係という組織があるところはそんなに多くはないと思います。まずは阪大サッカー部におけるその設立の経緯から、ついで具体的な活動についてお話させていただきます。


1.悲願の昇格!強豪校と戦うために


 時はさかのぼること2017年、私は1年生でした。入部してすぐに、「地域貢献活動」というものを阪大サッカー部が行っていることを知りました。当時の活動は、阪大サッカー部から10名前後を派遣して、地元の会社と阪大のサークルと合同で石橋駅(現石橋阪大前駅)周辺のゴミ拾いを月1で行う、というものでした。この活動は、翌2018年まで続きます。また、2017年5月には、当時共に関西2部Bリーグに所属していた神戸大学さんとともに、両大学が相まみえる試合を「阪神ダービー」と銘打って、地元の方々(小学生から商店街の大人の方々までさまざま)をその試合(大阪大学のサッカーグラウンドで行われた)に招待する集客試合も行っていました。


 そんな折、2018年の冬、代が変わって、地域貢献係改め社会貢献係が発足します。

この時期、弊部は悲願の関西2部Aリーグ(関西2部相当)昇格を果たしました。それまでとは違い、周りは私立の強豪ばかり。Jユース出身の選手や、優秀なコーチを雇うお金が潤沢なチームばかりでした。その中で戦っていくには、優秀な選手と強化資金の獲得が必須であると考えました。しかしながら、国立大学である私たちは、選手をスカウトすることもできなければ、スポンサーについていただいている企業もごくわずかでした。(スポンサーの皆様、日々サポートしていただきありがとうございます)先ほどの目標から逆算して考えると、リーグに所属する他の大学に比べて大阪大学が魅力的に映らなければなりませんでしたが、サッカー以外で特に目を引くような活動をしていないのが実情でした。そこで、「日本一の文武両道」を目指し、私達にしかできない活動を行うことを目標にした社会貢献係を立ち上げるに至りました。



2.自分たちの強みは「勉強」


 私たちにしかできないことを考える上で、他の大学に勝る私たちの強みは「勉強」であると考えました。周りの大学を見渡してみても勉強系の活動をしているチームはありませんでした。これこそ、私たちにしかできない活動だと考え、地元の高校生を対象に、勉強を教える「寺子屋」活動を行おうと考えました。


 実際の活動として、2019年度は主に、豊中高校の生徒を対象に行う勉強会、「寺子屋」を行いました。具体的には、豊中高校の1年生の希望者に、定期テスト対策の勉強会を開き、そこに部員を、生徒3人に対して1人程度の割合で派遣して質問対応を行う、というものです。質問したい科目について事前にアンケートをとり、その科目が得意な部員を派遣するようにしています。例えば、化学の質問対応に基礎工学部化学応用科学科の部員を、数学の質問対応に理学部数学科の部員をそれぞれ派遣する、といった具合です。毎回10~20人程度の生徒が参加してくれ、事後アンケートによると満足度も非常に高いものになっていて、かなり手応えを感じています。


 また、地元石橋商店街の夏祭りにかき氷の屋台を出店する、という、これまでの阪大サッカー部の活動の中ではかなり特異なこともしました。例年学生にも出店をしないため、ノウハウが全くない中でしたが、文字通り部員全員で運営し、なんとか2日間、練習試合や練習をこなしながら、しかも阪大の期末テスト期間でしたが、(微々たる金額ですが)黒字も出すことができました。「楽しかった、来年もやろうや!」と言ってくれる部員もおり、毎年出店することができれば、地域と阪大サッカー部を強く結びつけることになる、という可能性を感じる結果となりました。その他にも、東南アジア系労働者の子供たちを対象にした勉強会を行いました。


 今年度は、まず寺子屋の対象を1年生から全学年へ拡大する予定でした。が、コロナ禍により寺子屋活動は事実上不可能になってしまいます。そもそもこれまでの社会貢献活動は全て対面で行っていたため、全ての活動を停止しました。そんな中でも、オンラインであれば勉強を手助けすることが出来るのではないか、という声が上がり、1年生の1学期の期末テスト限定ですが、英語、数学、古典、化学、物理の問題の解説や解き方のコツの動画を提供させていただくことになりました。動画の提供は、部員が撮影した動画計30本を、YouTubeで限定公開するという形をとりました。問題を解説しながら動画を撮影する、編集するなど、ほぼ全員が初めての中で、悪戦苦闘しながらもなんとか提供にこぎつけましたが、教育系YouTuberの動画と比べるとやはり動画の質は劣ります。生徒が求めるものをピンポイントで提供できるというのは強みではありますが、わざわざ阪大サッカー部のYouTubeは見ないなあ、というのが正直なところです。しかし、挑戦した意義は間違いなくあったと思います。そもそもCSParkさんに取り上げていただいたのは、このオンラインでの寺子屋活動がきっかけでした。この後、どうなるかはまだ決まっていませんが、歩みを止めずに社会貢献活動に取り組んでいきます。



3.理想のチームへ 鍵は当事者意識と排他的行動


 これまで社会貢献活動の設立の経緯や活動についてお話ししてきましたが、実際に活動するにあたって、筑波大学蹴球部と早稲田大学ア式蹴球部の活動を参考にしました。具体的に何かの活動を真似した、というわけではなく、部員1人1人が、この社会活動のような直接サッカーとは関係ない活動にどのように関わり、向き合っているのか、というのを勉強させていただきました。(インターネットなどで一方的に調べたりしたというだけです。)そのなかで、阪大サッカー部がこんな組織であったらいいな、という理想像が見えてきました。社会貢献活動からは少し話が逸れてしまいましが、少々お付き合いください。


 それは、部員全員が、部活の活動に対して当事者意識をもつ、ということです。現在、阪大サッカー部は、社会貢献以外にも分析班やSNS係など複数の係、班があり、全部員がそのいずれかに所属し活動していますが、1つの係をしているから他の係の活動は何も知らない、という態度の人がほとんどです。そうではなくて、各々の活動の最終的な目標はチームの勝利であるということを理解して(さらに言えばAチームBチームCチーム関係なく)、個々人がチームの中での役割を意識して活動できるようになってほしい、そう思います。


 同時に、利他的な行動が出来る集団であってほしいとも思います。例えば、練習中の用具の準備や片付けを、学年問わず、自然発生的に、気付いた人がやるようになるといいと思います。これは「体育会」という組織の性質上かなり難しいかもしれません。今でも、ほとんどの体育会では1年生をはじめとする下級生が雑用を、当然のようにこなしています。阪大サッカー部も例外ではありません。私は個人的に、この旧態依然とした体質からは脱却すべきだと考えています。どう考えても、慣れている上級生が準備や片付けをしたほうが効率がいいからです。しかし、現実として、いきなり「今日から4年生が準備と片付けね」としても受け入れられないでしょう。私達のような学生主体の組織では尚更だと思います。だからこそ、ルールとして定めないまでも、1人1人が周りに気を配って、いまチームに必要なことは何なのかを常に考え続けることが大切です。そういう姿勢が「利他的である」と思います。利他的な行動がチームを動かしたエピソードとして、個人的に非常に手応えを感じたものがあります。先ほどの夏祭りの話で、「文字通り部員全員」と書きましたが、実を言うとそうではなくて、正しくは「1年生を除く2、3、4年生全員」です。夏祭りが期末試験と被っていたため、特に忙しい1年生には勉強してもらって、比較的余裕のある上級生中心に運営しました。これって革命的だと思いませんか?当時3年生だった私の頼みを、同期や先輩方は快く受け入れてくださいました。初めてだった夏祭りも、全員の利他的な姿勢で成功を収めることが出来たのだから、普段の練習や生活でも全員が意識すれば、サッカー面にも必ず大きな成果をもたらすはずです。


 以上の2点を常に意識し続けることで、それらが阪大サッカー部の文化として醸成され、いつしか阪大サッカー部の特色になってほしいと願っています。またそれが叶うよう実践し、伝えていきます。



4.日本一ユニークでオンリーワンのチームになる


 最後に、今後の社会貢献活動の展望について書きたいと思います。今年2020年は、コロナウイルスの流行により、世の中が一変しました。4ヶ月停止を余儀なくされた部活はもちろん、学校の授業も遠隔になったりと、「人との接触」が限りなく減らされました。それまで社会貢献係は「地域の方々に恩返しをする」という目的で、「触れ合い」を大事に活動してきましたが、それも叶わなくなりました。その一方で、コロナによって発達したコンテンツもありました。“zoom”をはじめとしたリモートミーティングアプリです。それまでの私たちの活動は、地理的な制約を受けていましたが、これにより地域の方々だけでなく他府県の方々を対象にした活動も可能になりました。先ほども述べたように、実際に豊中高校には映像授業の提供を行いました。


 今後は、寺子屋活動だけでなく他活動にもリモートアプリを活用し、日本全国に阪大サッカー部の活動を広げていきたいと考えています。それに加えて、コロナが落ち着けばオフラインの寺子屋の活動も、地域の他の高校を相手に広げていきたいと考えていますし、観客動員など、他にもたくさん企画しています。私たちがどれだけサッカーで強くなろうとも、大学サッカーで有名になるのは至難の技であると言えます。そこで私たち阪大サッカー部は、サッカーだけでなく、私たちにしかできない活動を日本全国で展開し、「日本一ユニークでオンリーワンのチーム」として全国の皆様に応援していただけるように精進してまいります。


 

長くなりましたが、私たちの思いを少しでも伝えることができていれば幸いです。ここまで読んでいただき阪大サッカー部の活動に興味を持っていただいた企業様がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。最後まで読んでいただきありがとうございました!

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