日本で一番UNIVASに詳しい女子大生が考える、大学スポーツのあり方|千葉大学ラクロス部・吉田美柚
私は、UNIVASが設立された今年の2月から3月にかけて、スポーツ庁でインターンをしていました。
部屋の一角に用意してもらった席に座って、設立前後の1カ月を見ていたあの頃の私は、確実に「日本一UNIVASに詳しい女子大生」でした。
通っている千葉大学では、女子ラクロス部に所属し、大学スポーツに現役で関わっている私の目線から、UNIVASの設立を見ていて思ったことを書いてみたいと思います。
大学スポーツに憧れていた話
ちょうど3年前、私は大学スポーツに憧れを持って受験に励む高校生でした。
受験生のはずなのに三大駅伝はすべて観戦。
とても華やかな世界を想像し、他の大学スポーツも輝いているように感じていました。
世界史の人名よりも箱根駅伝の各校のオーダーをスラスラ言えてしまう駅伝オタクだったので、自分が同じ大学生となったときには、何かの形で大学スポーツに関わりたいと思っていました。
千葉大に入って感じたギャップ
しかし、私が入学した千葉大学は、スポーツが特別盛んな学校というわけではありません。
初めは学連メンバーに興味を持っていたはずが、気づけばラクロスというスポーツに魅了され、選手として女子ラクロス部に入部していました。入部すると、良くも悪くも、自分が大学スポーツに対して抱いていたイメージとのギャップを感じました。
一番のギャップは、想像以上に「学生主体の運営」であったことです。
練習の日程組みからコーチの選出、チームの方針決定まで、毎日の活動を学生自身が作っています。
大学スポーツを高校の部活動の延長でとらえていた私には衝撃的なことでした。
もちろん、自分たちでチーム作りができることは魅力の1つです。
どんなチームにしたいのか、結果を出すためにはどうしたらいいのか、なかなか答えの出ないことを仲間と話すのは大変ですが、それ以上に大きなやりがいを感じます。
ただ、一方で学生主体の活動は、日本の大学スポーツが抱える問題点でもあると思います。
学生主体でやっていると、それだけ学生の負担も大きくなります。
時間もお金も部活に対しての割合が大きくなる。
気づけば毎日同じメンバーと過ごしている。
毎日の生活がどんどん閉鎖的になっているような気がして、ラクロス部という環境にとどまっていていいのか悩んだこともありました。
そんな悩みを抱えている時に偶然見かけたのが日本版NCAA設立の構想でした。
設立理念に、大学スポーツの発展によって「地域・経済・社会の更なる発展に貢献する」と書かれているのを読んだ時には、閉鎖的な大学スポーツの何かが変わっていくかもしれないと、漠然としたワクワク感を抱いたのを覚えています。
スポーツ庁にインターンしよう!と決意。
更なる偶然で、文部科学省スポーツ庁のインターンの募集で「大学スポーツ協会」という文字を見つけ、思い切ってエントリーシートを出してみることにしました。
運良く合格し、インターンに行けることになった私は、大学スポーツに現役大学生として関わっている私だからこその視点で、UNIVAS設立に向けて動く現場を見つめてみようと思い、1ヶ月のインターンに臨みました。
インターンで入って学んだこと
インターンでは、UNIVASに関係するホームページの更新をしたり、会議の傍聴をしたり、インターンのまとめとしてこれからのUNIVASについて政策提言したりと、内容の濃い経験をすることができました。
そうした1ヶ月を過ごす中で私が感じたことは、現場の大学生が動くことの必要性です。
UNIVASの中心事業にあげられているのは、「学業の充実」と「安心・安全のサポート」です。
大学としてUNIVASに加盟してもらうことで、短期的には学内で大学スポーツが正規活動として扱われることをめざし、学生の学びの環境の充実・安全な環境のサポートへとつなげ、長期的に、大学スポーツを教育やビジネスといったあらゆる側面から盛り上げることがめざされています。
これを達成するため、UNIVAS設立に向けて、本当にたくさんの大人が関わり、大学スポーツのこれからをたくさん考え動いてくださっていることをインターン期間中痛感しました。
しかし、私たち大学スポーツに関わる学生の中で現在UNIVAS発足による変化を感じている人はどれだけいるでしょうか。
私がインターンの経験を友人に話すと、ほとんどの場合「UNIVAS??」という顔をされます。
UNIVASに興味を持っている私は、SNS上の動画配信やUNIVAS CUPといったUNIVASの活動が目に入ってきますが、私の周りではこれらの活動はあまり知られておらず、UNIVASそのものが学生にどれだけ知られているか…というのが現状だと思います。
こうした現状を批判することは簡単なことです。
しかし、UNIVAS設立という大学スポーツ新時代に突入する大きなきっかけを逃さないために、私たち学生にも果たすべき責任があると感じるようになりました。
大学スポーツ改革は、大学でスポーツをする学生のためという前提で行なわれています。
大学や企業、学連など、数多くの既存の組織が連携し、大学スポーツの可能性を広げ学生に還元しようとしてくれています。
しかしながら、その還元は私たち学生には届いていません。
こうなってしまっている原因は、大学スポーツという閉鎖的な環境にとどまってしまっている私たちにもあると思うのです。
UNIVASが学生のために動いてくださっていることに対し、大学スポーツに関わる学生は、自分ごととしてもっと興味を示し、歩み寄るべきではないかと感じています。
大学・企業・学連間の効果的な連携を生み出すには、大学スポーツそのものの価値をもっと向上させていく必要があります。
私の大学で言えば、部活間の連携さえあまり見られず、関係者以外に体育会の価値を認めてもらえているとは到底言えません。
各部活がどのような活動をしているのかわからない、学生により信頼性の低い運営が行われている、そんな体育会が連携のパートナーとして価値ある存在とは言えないですよね。。。?
1ヶ月間、UNIVASの設立に向けて動くたくさんの方を見ていて、これからの大学スポーツの成長という期待感と共に、現役大学生として私たちがこのままではいけないという焦りを感じるようになりました。
解決すべき課題と自信が考える解決策
生じた焦りから、私は現役大学生として大学スポーツの発展に貢献したいと思い動き始めました。
原動力には、大学スポーツが地域や企業と連携することで生まれるかもしれない新たな可能性への期待感もあります。
どうしたら連携のパートナーとして大学スポーツの価値を高められるのか。
どうしたら体育会の価値を高められるのか。
私の大学を例にすれば、まず必要なことは体育会の横のつながりを強化し、連携を生むことだと考えています。
他部活の活動を知ることで、自分たちの部活ができていないことに気づき改善のきっかけを得る、周りに自分たちの活動を知ってもらおうと活動の発信をしていくようになる、そうすれば体育会が周りに開かれたものになり、学内での体育会の立ち位置も変わっていくかもしれません。
小さな変化かもしれませんが、体育会同士の繋がりがこれまであまり見られなかった千葉大学では、大学スポーツの価値を高めるはじめの大きな一歩になると考えています。
まずは自分の身の回りからの小さなことから。
「体育会お友達大作戦」という(ダサさを否定できない)作戦名の下、千葉大学体育会本部にこれまでなかった広報として参加させてもらい、各部活の活動を発信や部活間の横の繋がり生むことを目標に動き始めました。
上の写真は、今年の夏頃に、千葉大学ラグビー部・アメフト部・ラクロス部の新歓担当者で交流会を実施した際のものです。
体育会の新歓活動は、お互いの部活のネガティブキャンペーンをすることがありますが、それが『体育会のイメージを下げているのではないか?』と違和感を持っていました。
結果的に、体育会ではなく、サークルを選択する新入生が増えているのではないか?
(サークルを悪として捉えてはおらず、“体育会”に興味を持つ新入生の母集団形成をわかりやすくする為に例えています。)
であれば、体育会同士はネガティブキャンペーンをするのではなく、協力体制をつくり、お互いの試合結果を知る、お互いのスポーツを実際にやってみる、そうした小さなきっかけから生まれた興味が、部活単位での変化、体育会という単位での変化、そして大学全体への変化を生み、大学スポーツの価値向上へと少しずつ発展していくのではないかと考えています。
アメリカのNCAAは、100年以上の歴史がある組織です。
それだけの時間をかけてアメリカの大学スポーツは発展してきました。
UNIVASは、日本版NCAAとして構想されたものですが、日本の大学スポーツの現状に合わせて日本独自の成長をしていくはずです。
日本でも数十年後、UNIVASを中心に大学スポーツが成長しているように、私たち学生も大学スポーツの価値を高めていくことが求められていると思います!
まだまだ動き始めたばかりの活動ではありますが、一緒に大学スポーツの成長のために動いてくれる仲間が増えていくと嬉しいです!!
伸びしろがたくさんある大学スポーツを学生自身の手で変えていきましょう!
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