「みんなで勝てた」と言えるチーム作りへ- はじめての主将の挑戦-|青山学院大学女子ソフトテニス部
この記事でわかること
・チーム全体の意識の変え方・ボトムアップ型のチームの作り方
・変化することの大切さ
目次 [非表示]
はじめに
この記事を通して、読者の方々に、変化を恐れずに挑戦するという思いが伝わればなと思っています。
大学で初めて、主将というポジションを務め、正解が分からず、悩んでいました。そんな時に、私の背中を押してくれた監督の言葉があります。
代が替わり監督から「このままでは勝てない、上級生が何かを変えないと」という言葉をいただき、主将としてチームを変えるためには何をすべきなのかを真剣に考えました。
前主将への相談、読書、組織創りの勉強をしたりと、自分なりに最大限の努力をしました。そして自分なりに、答えのない問いに対して、正解を作り出すことができました。
それは「みんなで勝てた」といえるチームを創ることです。
春季リーグ戦
私たちは、入部当初から「一部昇格」の目標を掲げて取り組んできました。
1.2年生の頃は、春・秋共に2部2位という結果でなかなか2部優勝、1部入れ替え戦へは及びませんでした。先輩方はとても強く「個人戦では勝てるのに、団体戦では勝てないチーム」を見ていて、私はなぜ勝てないのか、何が悪いのかを考え続けました。
そして、3年目の春リーグを迎え、チームとしても重要なポジションで試合に挑むようになりました。新戦力の加入、及び監督の変更があり、期待と共に不安も大きなリーグ戦でした。そんな状況の中、4勝1敗で、2部優勝を果たし1部との入れ替え戦に望むことができました。しかしながら、入れ替え戦の結果は1-2という惜敗に終わり、非常に悔しい想いをしました。
そんな中で、夏のインカレが終わり、私が主将となり「このままでは1部には上がれない」という危機感を覚えました。
主将としての「危機感」と「覚悟」
まず始めに、危機感を覚えた理由は、1部に上がるために必要な、「気持ち」が欠けていたからです。この欠点に気づいたのは、入れ替え戦での敗北、及び夏のインカレで1部校に負けた時でした。
入れ替え戦で負けた際に、涙を流し悔しがったのは前キャプテンと私だけでした。夏のインカレの際にも、誰一人負けて悔しがる素振りもなく、「相手は格上だから負けてしょうがない」というような空気さえ流れていました。「涙を流していない=悔しがっていない」と言いたいのではなく、その大会にかける想いや、勝ちたい気持ちが今のチームにはないと感じました。
私たちのチームは、レギュラーを1年生が過半数占めているため、リーグ戦にかける想いやインカレがどれほどの大会なのかという認識に、差異がありました。
しかし、その差を無くさない限り、勝てるメンバーは揃っているのに、勝てないチームになってしまうと思ったため、意識改革を行いました。加えて、1.2年生の頃に感じていた課題も解決したかったため、組織改革も行いました。
ここまでして、1部昇格にこだわった理由は2つです。
1.インカレで勝てるチームになりたい
リーグ戦とインカレはどちらも大事な大会ですが、1年を通じて重要視すべき大会は、夏のインカレです。そこで上位に上がるためには、少なからず1部の大学を倒さなくてはなりません。そんな中で、2部と1部のプレーを比較した時に、スピードやコースの厳しさという技術面での差があるなと感じました。だから私は、インカレで勝つためには、1部の環境に身を置いてプレーをしないと勝てないと感じたため、1部昇格というものにこだわりました。
2.歴史をもう一度作りたい
私たちの部活は、数十年前まで1部優勝、王座優勝、全日本優勝というような、甚だしいタイトルを獲得していた団体でした。そんな方々が、金銭的な面でご支援してくださったり、応援に駆けつけてくださる姿を見て、1部へ昇格することは私たちだけのものではないと感じました。実際に、総会でOB・OGの方とお話したときに、私たちの活躍を期待し、応援の言葉をかけていただき、私たちの勝利は、関係者すべての方を喜ばせ、元気づけることができると思いました。だからこそ、歴史をつくる、又は結果で恩返しするという意味で、まずは1部昇格というところにこだわりました。
このような2つの動機が、私の中で「キャプテンとして本気で1部昇格を成し遂げるんだ」という「覚悟」に変わりました。
そのためには、先に述べた「危機感」というものをまず解消しないといけないと思ったため、具体的な施策を考えて実施しました。
「意識改革」「組織改革」への具体的な取り組み
意識改革
「気持ちの差」という抽象的な課題に対して具体的にどのような問題点を見出し、「意識改革」を行ったのかについて紹介します。
私は「意識改革」を行う際に、「気持ちの差」の中でも大きく分けて2つの問題点があると感じました。
1.練習に対する意識の差
こなすことや楽しく練習することが目的になっており、試合を想定した練習ができていないことが問題だと感じました。つまり、1部に上がるための練習になっていないと感じました。
そこで私は、練習前に今日の目標や意識する点を全員に伝え、練習後にフィードバックをする作業を取り入れました。
その結果、練習中にその人が今何を意識して取り組んでいるのかを、全員が理解した上で練習に臨むことができたため、こなすための練習がなくなり、周りへのアドバイスが増えました。
また、練習に対する意識が低くなる原因として、毎日のルーティン化した練習が1つの原因として挙げられると感じたため、今までやってこなかった合宿を導入しました。
その結果、メンバー全員で寝泊まりし、青学ソフトテニス部についてだけ考える期間ができたため、合宿を通じて精神面での成長、及びチームワーク向上をすることができました。
2.選手と応援の温度差
試合の時に出ている選手だけが頑張ればいいという空気感があり、出ている選手と応援とが同じ気持ちで戦っていないという問題を感じました。
そこで私は、生徒間でのミーティング、及び監督との学年ミーティングを行いました。あえて、監督との学年ミーティングを行った理由は、選手である私が言うと主観的意見になりすぎてしまい説得力が欠けると感じたため、客観的な視点からアプローチした方が良いと考えたからです。
その結果、各学年に役割があることを伝えることで、出る選手だけが頑張れば良いという空気感をなくすことができました。また、出る選手もみんなで勝つという気持ちが芽生え、自然と盛り上がって試合をすることができました。
組織改革
次に、1.2年生の頃に感じていた組織への疑問を解決するために行った「組織改革」について紹介します。
私は、1.2年生の頃チームに対して2つの疑問を感じていました。
下級生が意見しにくい環境である
個人戦では勝てるのに団体戦では勝てないのはなぜか
1つ目に挙げた、下級生が意見しにくい環境を生み出していた最大の原因は、心理的安全性が確保されていなかったことです。1年生の膨大な仕事量に対して、先輩たちは、「私たちもやってきたのだから1年生はこのくらいやって当たり前」というような価値観で日々接してきました。
昔と今では、人数や価値観は変わっているのに、当たり前を疑わず、アップデートできていない組織に疑問を感じていました。
そこで、少人数且つレギュラーの割合から見て、従来のトップダウン型の方針は今のチームに合わないと感じました。
また、後輩たちには私と同じ想いはしてもらいたくないと感じたため、下級生が意見しやすい環境作りを目指して取り組みました。具体的には、部活以外での時間を共有することです。
例えば、部員全員で焼肉、花火、遊園地などに行きました。
このようなことを行った結果、ミーティングや普段の練習において、言いづらいような意見も下級生が言えるような環境を作ることができました。
2つ目に挙げた、個人戦では勝てるのに団体戦では勝てないのはなぜかという疑問に対して、試合のオーダーを組むプロセスに原因があると考えました。
今までのオーダーの組み方は、監督、及びキャプテンが話し合って試合のオーダーを決めていました。しかし、試合に出るのは選手であるのに選手の意見を聞かないのは、本質的ではないと思いました。
そこで私がキャプテンになった際には、選手に意見を聞き、選手の主観的な意見と、監督の客観的な意見を取り入れてオーダーを組むことにしました。
その結果、選手が納得した状態で試合に臨むことができました。また、下級生にも試合の勝ち負けに対しての責任感が生まれ、組織全体として当事者意識が芽生えました。
以上のような取り組みを経て、私たちは6年ぶりに2部から1部へと昇格することができました。
メンバーの意識改革や組織改革を行う際に、正論を言っても人は動きません。なぜやるのか、なぜそこまでして勝ちたいと思っているのか、ここで言えば私なりの「覚悟」や具体的施策を行う理由を部員全員に伝えることによって、周り巻き込み動かすことができました。
1部昇格後は、これからの道のりの方が大変だと感じたため、キャプテンとして新たな施策を導入し、「1部常連校」を目指して日々取り組んでいきます。
最後に
私は、高校生までの12年間は団体戦をしても自分だけが勝ち、他は負けて勝てないという場面が非常に多かったです。
「団体戦なんてつまらない。」そう思っていました。
いつも絶対に勝たなければいけないというポジションで、どうしても「勝ちたい」という想いよりも「負けてはいけない」という想いが先行してしまい、試合を楽しむことができませんでした。
大学生までは、主将というポジションではなかったため、チームが負けても自分は勝ったからそれでいいというような、無責任な態度でチームを良くしようとさえ思っていませんでした。
そんな状態で、大学生になり「所詮団体戦なんて…」と思っていた私に転機が訪れました。
大学2年生の秋リーグで、足を怪我しながら試合に出場することになり、私は全く勝つことができませんでした。
しかし、先輩たちが頑張って勝ってくれる姿を見て、自分が負けてもチームは勝つことができ、団体戦の楽しさを初めて感じました。
「誰かが負ければ、誰かが頑張る。決して人任せにせず、みんなで勝ちに行く。」
これこそが団体戦だと言うことを、恥ずかしながらソフトテニス歴14年目にして初めて気付きました。
こんな想いが私にはあったからこそ、みんなの力で一部に上がりたいと誰よりも強く想っていました。
だから、「何かを変えなければ」と監督に言われた際に、何が正解なのかは、やってみなければ分からないと思い、様々な施策を行いました。
もちろん、何かを変えれば文句が出るかもしれないと思い不安になりました。ましてや、初めての主将と言うことで上手くリーダーシップを取れるかどうか、チームをまとめられるかと言うことにも不安を感じていました。
しかし、変えることへの不安よりも、勝てた時の楽しさをみんなで味わいたかったため、最後までやり切ることができました。
結果として、1部昇格を決めた際には3番勝負を決めたのが私自身であったということもあり、人生で初めて嬉し涙を流しました。
このようなことから私は、成し遂げたい夢や目標があるならば、変化を恐れずに挑戦して欲しいと思っています。
今の組織に少しでも疑問を感じたら、変わるために行動を起こしてみて下さい。
その先には、今まで見ることのできなかった景色を見ることができると思います。たとえ失敗してしまったとしても、そこから学んで強くなればいいと思います。
失敗と成功は紙一重、何もしないことこそが本当の失敗だと言うことを、私は身にしみて感じました。
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