学生溢れる東京六大学野球を目指して ~東京六大学野球ゼミナールの活性化施策~
初めまして。東京六大学野球ゼミナール6期生、法政大学4年の齊藤雄大です。今回は、CSPark様の取材を通して、本ゼミの活動と東京六大学野球に興味を持って頂ければ幸いです。私たち東京六大学野球ゼミナールは、2025年に100周年を迎える東京六大学野球を学生たちの力で活性化させることを目標に設立された団体です。東京六大学(東京大学、立教大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、法政大学)の2~4年生が在籍しており、ゼミ生たちは、スポーツビジネスに関する講義の受講により、知識と考える力を養い、大学野球の聖地・神宮球場をフィールドとして活性化企画立案~実践の活動に励んでいます。今回は、本ゼミが今季開催した「TRY(T=東京・R=六大学・Y=野球)フェスタ」で実施したグラウンド開放企画の立案~実践の流れと今後の展望についてお話させていただきます。
入学して感じた意外なギャップ
まずは私が入ゼミした経緯について、お話させていただきます。大きな理由は2つあります。1つは東京六大学野球という高いレベルの大学野球に関われる貴重な機会と考えたことです。高校3年時、進路を検討するにあたり、打ち込んできた野球を大学でも継続しつつ、学業にもしっかり取り組みたいと考えていました。首都圏の私立大学の硬式野球部は、推薦生が多く、継続するのは難しいと考え、地元の国立大学を志望していました。
しかし、第一志望への進学は叶わず、法政大学へ進学することになりました。マネージャー転身も検討したものの、選手として継続することを希望していた私にとって受験後の短期間で気持ちを切り替えることは難しく、入学後はサークルや草野球でのプレイを楽しんでいました。ですが、1年の秋にリーグ戦を観戦した際、こちらのゼミの募集を見つけ、大学でももう一度大好きな野球に、選手とは別の角度から関ることができる。それも憧れのある東京六大学野球ということもあり、絶好の機会と考え、迷わずエントリーしました。2つ目は、大学内で感じていた東京六大学野球に対する温度差を埋めたいという想いです。
在学する法政大学は、東京六大学の中でも最多の優勝回数を誇っていますし、リーグ戦が始まれば、学内でその話題は自然と上がるものと思っていました。ですが入学後、大学内でほとんど東京六大学野球の話題があがっていないことに気づきました。レベルも高く、人気があると思っていた東京六大学野球の盛り上がりがないことを実感し、もどかしさを覚えました。本ゼミであれば、野球部では提案できないことも、学生の自由な視点から柔軟なアプローチで、東京六大学野球を盛り上げられるのではないかと思いました。東京六大学野球活性化の目標の下、私達6期生は「東京六大学野球に興味のない学生にも満足する1日を提供し、リピートを生み出す」企画に注力しました。
スケートボードから得たヒント
その中で今回、私が企画立案したのはグラウンド開放企画です。以前から野球というスポーツに対して、プレイヤーとして、また一愛好家としての視点から、野球観戦の懸念点に①試合時間の長さやルールの複雑さといった、熱心なファン以外の飽きに繋がる要因が多い②満足度が試合内容に依存するが挙げられると考えていました。
①に関して、私の中で大きく課題だと実感する出来事がありました。昨夏の東京オリンピックで初登場で話題となったスケートボードをテレビで見たことです。幼い頃から野球一筋の私にとって、スケートボードは無知の競技でした。興味本位で少し見るつもりが、結局、競技終了まで楽しんで見てしまいました。なぜ、ルールも選手も分からない競技の観戦を楽しめたのだろうと考え、思い当たることが2つありました。1つは、競技のテンポがとても速いことです。1回1回の演技の間が短いため、飽きる時間が少ないと感じました。もう1つは、技のすごさがビジュアルで判断できることです。正直なところ、スケートボードをやったことはないため、どの点が難しいのかなどはあまりわかりませんでした。
ですが、高いジャンプや回転のダイナミックさから、ビジュアルだけでも、「今の技すごかった、かっこよかった」と感じることが出来ました。それに引き換え、野球は試合時間が長く、ルールは複雑、目の前で何がおこっているか分からないと、元々好きでない人からすれば満足感を感じるのは難しいと感じました。②に関しては、野球に関わらず、スポーツ全般に関する懸念点ですが、「勝利」や「緊迫感のある勝負」を期待する観客に対し、応援チームが負けてしまったり、大差がついた試合では高い満足度を得ることが出来ません。ディズニーランドなどのアミューズメント施設のような常に一定のプログラムを提供するエンターテインメントとは違う属性にある、スポーツというエンタメ特有の懸念点と考えます。このような点が、リスク志向(楽しめない可能性)を重視する若者に敬遠される理由なのではと仮説を持っていました。
その中で、グラウンド開放を実施することで、まずは東京六大学野球の舞台である明治神宮野球場をただ野球を観るだけの場所から、「体験」する場所に変えていきたいと考えました。グラウンド開放を行うことで、応援チームが負けても、試合が長くても楽しみが待っている。選手がプレイするグラウンドを自身も体験できる「コト消費」の機会を提供することで、観客の満足度の安定化、リピートを生み出すことが目的です。コロナ禍もあり、大学生活の思い出が減っている今こそ、友人たちとそこで何かをした思い出を残すことが、今後も来てくれる「ファン」の獲得、リピートに繋がると考えました。東京六大学野球連盟の理事の方々に向けたプレゼンでも、「体験型」のコンテンツであることなどを評価していただき、2022年春季リーグでの実施が決まりました。
活動で養われた対応力
実施に向けての準備には苦労が多くありました。今回は、参加者の方々のグラウンド内でのコントロールはもちろん、コロナウイルスの流行にも目を向けながらの実施になりました。消毒や検温の導線を含め、神宮球場の運営部の方々と細部にわたり、確認を行いました。お忙しいところ、用具の貸し出しや実施体制含め、運営部の方々には多くのご支援を頂きました。広報にも力を入れました。グラウンド開放班には自分を含めて7人のメンバーが所属していましたが、実施1ヶ月前から、いつ、どのコンテンツを投稿するか、入念に打ち合わせをしました。最初は18時頃に揃えていた投稿時刻を、大学生に届けることを踏まえてあえて22時にしてみたり、自身も足を運びたくなるような写真や投稿文の作成において、試行錯誤を重ねました。
各大学野球部のマネージャーにも拡散依頼をし、実際に野球部の拡散があってから数時間は多くの申し込みがありました。マネージャーの方には、グラウンド開放に使用する用具の提供にも快く応じていただき、企画成功に多くのお力を貸していただきました。今後、さらに東京六大学野球を盛り上げていくためにも、野球部、応援団の方とさらに連携を取っていければと思っております。中には結果に繋がらなかった取り組みもあったかと思います。それでも、望んだ景色を叶えるために、細部にこだわり、結果へ繋げる過程を歩めたことは今後の人生にも役に立つであろう学びでした。その結果、当日参加も可とし、コロナウイルスの影響を鑑み設けた定員50名の募集を目指していましたが、なんと各日実施の2週間前に定員を達成することが出来ました。かなり余裕をもって定員を集めることが出来たため、キャンセルが出た際に追加募集をかけることができ、当日の参加者数もしっかり確保することができました。
迎えた初日、グラウンドには多くの参加者の方々が入場し、友人とキャッチボールや記念写真の撮影を楽しみ、マウンドで行ったスピードガン測定では、スピードが出て喜ぶ人、久々の投球でスピードが出ず悔しがる人、野球はやったことないけどいつもテレビで見るだけのマウンドに興味を持って雰囲気を味わう人など、楽しみ方は人それぞれでした。中には、「グラウンド開放に参加するために今日来ました。」「すごく楽しかったのでまたやってください!」と声をかけてくれる参加者の方もいて、大変励みになりました。2日目は、なんと朝からあいにくの雨。さらに、途中から雨は土砂降りとなり、肝心の試合も中断。グラウンド開放は、試合が中止になったり、試合時間が大きく予定より伸びれば実施できません。
正直なところ、運営・企画者の私も「これは今日は実施できないかもな…。」と不安な気持ちになっていました。しかし、雨で試合中止になる可能性があるにも関わらず、足を運んでくださった参加予定者の方々に応えるため、早め早めに対応策、実施するとした場合のタイムスケジュールの提案などを行い、運営部の方々のご尽力もあり、実施時間を遅らせ、実施形態に若干の変更がありましたが、何とか実施することができました。こういったところの対応力もこのゼミで養った力かと思います。
東京六大学野球に愛着を
今後の展望といたしましては、私たちの活動により、まずは学生の東京六大学野球への愛着を高めることを目標としていきたいと考えています。学生が多く神宮球場に足を運ぶことで、世間的な注目が集まり、選手や応援団の方々もパフォーマンスへのモチベーションが一層高まる。結果として、東京六大学野球に関わる選手、応援団、ファンの方々、私たちのような東京六大学野球を愛する人々全員がつながることで、東京六大学野球全体が盛り上がる。そのような景色を実現できる一助になれればと思っております。
ぜひ、この秋季リーグ、東京六大学野球に足を運んでいただければ幸いです。また、東京六大学の学生の方は、ぜひ本ゼミに興味を持って頂ければ幸いです。この度は読んでいただきありがとうございました。
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