男子部で奮闘する女子ラグビー選手の現状|青山学院大学ラグビー部

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2021年09月14日

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初めまして。青山学院大学体育会ラグビー部に所属している女子部員(4年津久井萌、小西想羅、3年高木萌結、2年小西似呼)です。今回、女子ラグビーの魅力はもちろん、大学での活動環境や卒業後のキャリアなど、女子ラグビーの様々な側面を紹介させていただきます。この記事を通してぜひ女子競技について興味を持っていただければ幸いです。 

 

現状の環境について

現在、私たちは青山学院大学体育会ラグビー部と、女子のクラブチームである横河武蔵野アルテミ・スターズの二つのチームに所属しています。何故、二つのチームに所属しているのか疑問に思った方がいらっしゃると思いますので、その理由から説明させて頂きたいと思います。


まず、大学ラグビーでは、女子が男子の中に混ざって公式戦に出場することはできません。小学生等ではあまり大きく感じられませんが、大学レベルになると年齢を重ねるにつれて生じてくる男子と女子の体格差はもちろん、スピード、技術など、多くの点で大きな差があります。また、現在の青山学院大学ラグビー部に所属している女子部員の合計は4名です。ラグビーは7人制と15人制がありますが、最低でも7名以上いないと試合に出場することができません。大学単独チームで試合に出場できたとしても、人数が足りないというのが今の現状です。このようなことから、私たちは青山学院大学ラグビー部の試合に出場は出来ず、女子チームとしての出場も叶いません。


では、なぜこのような状況であっても私たちは青山学院大学ラグビー部に入部したのか?

それは、15人制で海外の強豪チームに勝つために、仮想外国人と見立てた男子選手たちの中で練習することによって、自分たちのレベルアップに大きくつながると考えたからです。

現状、女子ラグビーの競技人口はサッカーやバスケなどに比べると非常に少なく、男子のように15人制と7人制のどちらかを選択するということは難しいです。そのため、女子ラグビー全体として、1年の間に15人制と7人制それぞれのシーズンに分かれており、半分ずつやるという状況になっています。

そのような中で、私たち4人は全員、15人制をメインでやりたいと考えており、年間を通して15人制の練習をするために男子部に入るという選択をしました。


女子ラグビーにおいて、年間を通して15人制を練習できるという環境が少ない中、青山学院大学ラグビー部は私たちのことを快く受け入れてくださいました。練習中、多くのミスをしてしまうことがありますが、女子部員である私に対しても「今のはこうするべきだった」「こうしたらよかった」と男子部員の皆さんが具体的に指摘してくれます。女子だからしょうがないといって見逃すのではなく、的確な声をかけてくれて本当に有り難いですし、そこから多くの学びを得ることができました。

さらに、全体練習後の自主練習の時にも私たちの課題改善のために力を貸してくれる部員がたくさんいて本当に感謝しています。このような温かい環境をつくってくださる青山学院大学ラグビー部では日本一を目標に取り組んでいますが、私も1人の部員として日々男子部員と切磋琢磨しながら少しでも力になり、日本一に貢献したいと心の底から願っています。

 

 

しかしながら、二つのチームに所属している中で、難しく感じる部分もあります。他の男子部員に比べると青学の練習参加日程がどうしても少なくなってしまうことです。ですが、監督をはじめとした部員全員がそれを理解してくれていることで、自分たちでコンディションを調整しながらの参加を認めていただいています。女子部員は寮がないため、実家暮らしや一人暮らしの人などバラバラで、グランドまでの移動時間もそれぞれ違うので、自分たちで調整させて頂けることは非常にありがたいと感じています。自由にさせていただいてる分、2021年ラグビーW杯(コロナで1年延期のため、2022年開催予定)で日本代表として結果を残すことを目標に、恩返しができるよう日々の練習に励んでいます。

 

女子ラグビーの魅力

女子ラグビーの魅力はたくさんありますが、その中での注目ポイントは男子と同様に激しいコンタクトプレーです。女子だからといって優しく当たったり、相手に気を使うなんてことは一切ありません。もちろん男子のパワーに比べれば、多少劣ってしまいますが、生で観戦した時の衝撃音は凄まじいと思います。実際に初めて女子ラグビーを観戦した時に想像以上の激しさに驚いたという方も少なくありません。ぜひ現地に応援に来て、肌で感じてもらいたいです。


また、女子ラグビーは競技人口が少ないと言いましたが、少ないからこその魅力もあります。高校生までは各カテゴリーで分かれていますが、大学生からは社会人と同じカテゴリーで試合に参加することができます。さらに、全国各地で試合が開催されることで、日本全国にラグビー仲間を作ることもできます。このように年齢関係なく、多種多様な人との関わりを持てることで、様々な面で世界観も広がります。他の競技でも、遠征や試合などで色々な場所に行くことがあるかと思いますが、年齢関係なく関われる競技は少ないのではないでしょうか。


そして、なんと言っても最大の魅力は、1年間で7人制と15人制どちらも見れるという点です。ほとんどの女子ラグビー選手が1年の間に7人制と15人制の試合に出場しますが、それぞれで異なるポジションをやったり、片方では見られないプレーが見れたりと、二度楽しんでいただけるかと思います。今は新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客試合が多く続いていますが、コロナ前は観客と選手とのコミュニケーションも多くありました。それも一つの魅力だと感じます。何度も繰り返すようですが、ぜひ一度でも女子ラグビーの試合を生で見ていただきたいです。

 

女子ラグビーの課題点

現在のこの環境に非常に満足し感謝していますが、私たちのように青山学院大学ラグビー部に誰もが入部できるわけではありません。ありがたいことに、現在所属している女子部員は全員スポーツ推薦のラグビー枠で大学に入学しましたが、毎年女子部員のラグビー枠があるわけではありません。

陸上やバレーボールは毎年当たり前のようにスポーツ推薦枠があるのに、どうして女子ラグビーの枠はないのか?

それは、女子ラグビーがマイナーなスポーツだからです。青山学院大学でも毎年枠があるかは確証されていないように、他の大学でも同じような枠があるところは本当に限られています。そのため、進学を機にラグビーを辞めてしまうという人も多くいるのが現在の状況です。


就職のタイミングでも同様のことが言えます。実際に現在4年生である小西と津久井は、3年次の終わりから進路について考えるようになりました。競技継続を前提として考えていたため通常の就職とは違い、練習などを優先させてもらえるアスリート社員としての就職先を探していました。

まず直面した課題として、アスリート社員の採用を行なっている企業が少ないこと、その企業を知るためにすでにアスリート社員として働いている先輩たちに、直接聞く以外方法がなかったということです。さらに、それらの企業がコロナの影響などもあり、採用を中止していたということもあったからです。そこで、女子アスリート向けの合同企業説明会を紹介してもらい参加しました。しかし、参加している企業の多くは大学で競技をやめることを前提とした方を採用する形でした。ですが、女子アスリートに興味を持っている企業の方と直接お話をすることで、アスリート採用に目を向けていただきました。そして、合同説明会後その企業独自の説明会にも参加し、アスリート採用がどのような雇用形態になるのか、女子ラグビーの受け皿の少なさなど、個人面談を経て詳しく話し合い、内定をいただきました。


このように、受け皿の少なさと女子ラグビーの認知度の低さは比例しているのではないかと思います。実際に就職活動をしてみて、自分やその競技の魅力を知ってもらうことの難しさを痛感しました。現在の私にできることは限られていますが、後輩のためにも新たな道を開拓したり、自分たちの活動を積極的に発信していくこと、また、将来的には女子アスリートの就職サポートなども行えるようになりたいと感じました。競技を続けながら仕事や学業に専念する、そんな環境が増えていくことが私たちは重要だと考えます。


ただ、受け皿を増やしていくには、マイナーなスポーツから脱却する必要があります。そして、より多くの方々に女子ラグビーを知ってもらうために1番必要なことは、結果を残すことだと思います。2017年15人制女子ラグビーW杯、先日行われた東京オリンピック、いずれにしてもいい成績を残すことができていません。2011年なでしこジャパンがW杯で優勝したことで女子サッカーの人気が出たように、結果を残すことで人々の注目度は変わってきます。私たちにできることは、世界に通用する技術をより多く身につけ、大きな大会で結果を残すことです。


一方で、このような大きな大会は4年に一度しか開催されません。だからといって、それまでの間何もしないのは時間の無駄です。では、私たちでも今すぐに実践していけることは何か?

それはイベントや試合などの情報をSNSを通じて発信することだと考えました。国内試合の日程や結果はもちろんのこと、上記で述べた女子ラグビーの魅力を広めることはSNSが発展している現在ではすぐに行動できます。そうすることで女子ラグビー=マイナーなスポーツという認識は徐々になくなり、多くの女子選手が活躍できる環境作りに繋がり、それに伴って競技人口も増えるのではないかと思っています。近年、ほとんどの女子チームのアカウントで試合の速報を流したり、何人かの女子選手がSNSを通して女子ラグビーについて発信しているので、チェックしていただけたら嬉しいです。


今後は私たち部員4人も、積極的に試合日程や結果などを発信していこうと考えています。また、私たちの他にもさまざまな環境で競技を続けている人や、それぞれの個性を存分に活かしている女子ラグビー選手がたくさんいて非常に面白いと思うので、ぜひ知っていただきたいです。まだまだ認知度の低い女子ラグビーですが、少しでも盛り上げていきたいと思います。


長くなりましたが、私たちの現状を少しでも知って、興味を持っていただいたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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